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オガワの腹ん中。

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この旅のおぼえ書き

島根に、行ってきました。

4年前、自分から「演劇ライター」を名乗っていた頃に取材した
(http://www.ai-ni-iku.com/ai-ni-iku/ep01/ep01_01.html)、
雲南市の演劇人たちによる公演『オイル』を観に。
(感想は当日ツイートしたので割愛しますね)

彼らが何らかの行動を起こすたびに、おじゃまする街です。
新幹線も、岡山での待ち時間に足を伸ばす「独歩」のスタンドも、
そして岡山からさらに3時間かかる魔の「特急やくも」も、
なんかもー目をつぶってでも行けちゃうんじゃないか、ってくらい通っています。

ただ、今回は、前回までとは大きく違う点がありました。
私が自分から「演劇ライター」を名乗ることをやめたこと、です。

そのあたりは、このブログの2月あたりからの動きに詳しいのですが、
要するに私は「誰かを追いかける」「追いついたり離されたりする」
「結局一人残される」の繰り返しに耐えることが、
ちょっともう、できなくなってしまった、ということです。

私が書いた言葉や、私のしたことが、
誰にどう届いているのかわからない日々ではなく、
顔の見える誰かと、嘘じゃない何かを交わしたい。
そんなふうに、思うようになったのでした。

でもね。そうすると何が起きるかっていうと、
はじめましての人にはじめましてをする時に、
自分を説明する言葉がみつからないってことなんです。

「ねえねえ、おばあさんはなぜここにいるの?」
「それはね赤ずきん。お前たちのことを書いちゃうためだよー!」きゃーー!
……が、できないのです。

初めての事態でした。
「自分もみんなの力になれるかもしれない」という今までの前提が、
今回は、根っこからごっそりと無いのです。

見える景色も、今までのどの訪問とも違いました。
どうやらとんでもなく過酷だったらしいこの現場で、
疲れはててしまった人たちに例えばコーチングスキルを使おうにも、
何も届かない響かない。今の彼らに必要なのは先行きを照らす灯りではなく、
積もり積もった鬱積を理解し共感し一緒に毒吐いて笑ってくれる同志なのです。

私は、それではない。
そのことが、とても静かに胸を満たしました。
そしてここが予想外だったのですが、そのことが、
私はどうも悲しくはないのです。

最初に彼らを取材したのは、もう4年も前のことです。
小さな町の人たちが、「演劇」という手段を得て、
自分にできることを持ち寄って、それぞれ大らかに発揮している。
そのさまに私は惚れたのでした。

でも時間が流れれば人も状況も変わります。
私だって、当時は想像もできなかった変革期にいます。

季節は変わったのだと、私は静かに思いました。
まるで寂しくないと言ったら嘘になるけど、
でも、それは私にとって、揺らがぬ事実でした。

「力にならなきゃいけない」を取りはらった私は自由でした。
問題山積の首脳陣にその真相を問うのではなく、
私の顔を遠くから見つけて、話をしに駆け寄ってきてくれる人たちと、
ただ、時間をいっぱい過ごしました。

これはもう「ともだち」と呼んでしまいたい。
そう思いました。

演劇の肩書を取り外した私が、演劇の街を訪れたら、
できたのは、「ともだち」でした。

いい旅でした。深く感謝します。




by shibe0814 | 2016-06-14 11:35 | オガワの腹ん中

お疲れ気味のあなたのもとへ行き、足を揉んだり話を聞いたり、ちょっと元気になってもらう「旅する保健室」の小川志津子がいろいろと書いてます


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