オガワの腹ん中。

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チチが生まれた日に。

今日、71歳になった人がいます。

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オガワゲン。うちのチチです。
最近めっきり私のストレスのはけ口になっているかぎ針編みで、
まーーーっすぐ編んだだけの指なし手袋とネックウォーマーを、
送りつけたら返ってきたのがこの写真です。

油断してました。
泣いてしまった。

うちは、ひとりっ子核家族です。
チチとハハは、実はそんなに、仲良しじゃないです。
一緒に暮らしてたとき、普通に話してるとこあんまり見たことない。
晩ごはん食べながらつけてたクイズ番組みて、
したり顔で先に正解言っちゃうおとーさんと、
それが嫌でどんどんテンション下げてくおかーさんの間で、
あわあわ、うろうろ、話をつなげるのが私の役目でした。

ごはんが終わればおとーさんは部屋へ入っていき、
おかーさんはぷんすか怒りながら片付けをして、
私は、……私はどうしてたのかな。うまく思い出せません。

3人家族ですから、ふたりにそっぽを向かれてしまうと私は少数派です。
いつも一緒にいるのはおかーさんだから、私はおかーさんの話を聞きました。

おとーさんはね、結婚するときおじいちゃんに、
お仕事の国家資格を必ず取るって約束したの。
でも今ぜーんぜん勉強してないでしょ、おかーさん騙された。
しーちゃんが大きくなったら、おかーさんリコンするから、
一緒にしあわせになろう。

うん、とこたえる以外に何か方法があったろうか。

中学生の頃、そのことをチチに詰問した記憶があります。
おかーさんはこう言ってるけど、おとーさんとしてはどうなの。

チチは何も言わずに「それはおかーさんと俺が話すことだから」と、
部屋に入っていきました。

その後のことを私は知りません。

家を出て生活することを、止められたことはありません。
いやむしろハハの方から、外に部屋を借りなさいと提案されました。
おとなになる前に、ひとりで生活する練習をしなさい。そう言われました。

町田、王子、現在の杉並と、「ひとり時間」を重ねるうちに、
ふたりにとって私は「非現実から来る人」になっていきました。
私を迎える空気が、お客を迎えるときのそれになっていきました。

夫婦で過ごす時間のほうが「現実」。
そういうふうに、なっていきました。

むしろそれを望んでいました。
私が家を出て、自分で暮らすようになったら、
ようやく、ようやく向き合ってくれるんじゃないかと、
試すみたいな気持ちで家を出たのです。

決して平坦な道ではないようです。
でもその平坦じゃなさを、私が受けとめてしまったら、
すべては水の泡なのです。

ふたりは、今も一緒に暮らしています。
チチは今日カメラの前であんな顔をしており、
そのカメラのこちら側にいるであろう人は、たぶんハハです。

両方笑ってなきゃ、撮れないと思うんですこんな顔。

我が家は老々介護です。
いつかその日は必ずやってきます。
私はこちらに家族があるわけでもないから、
遠くない将来、たぶん帰るんだろうと思います。

……帰るったって電車で1時間強です。
どーしておめーは今帰ってこねーんだよ、
って思ってる親戚や旧友はたぶん複数います。

でもね、ごめん、この笑顔はね、
私がいたんじゃ、見られない笑顔なんです。

ムスメの私からしたら奇跡みたいな、
チチとハハのみによる笑顔なんです。

そのことの得難さを、まだもうちょっと、味わってたい。
そしてちっちゃい頃の私に言いたいんです。

あのふたり、わりと大丈夫だよって。

おとーさんおかーさんいつも元気でいてくれてありがとう。
また何か送りつけますから、笑ってね。
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by shibe0814 | 2016-02-11 19:10 | オガワの腹ん中

お疲れ気味のあなたのもとへ行き、足を揉んだり話を聞いたり、ちょっと元気になってもらう「旅する保健室」の小川志津子がいろいろと書いてます


by 小川志津子